人工知能

Mistralの新AIモデル、価格対性能で市場をリード

Mistralが新しいAIモデルを発表、価格に対して驚異的なパフォーマンスを提供

フランスのAIスタートアップ、Mistralが新たに「Mistral Medium 3」というAIモデルを発表しました。このモデルは効率性に重点を置いており、パフォーマンスに妥協をすることはありません。

Mistral Medium 3の特徴

MistralのAPIを通じて提供されるこのモデルは、1百万トークンあたりわずか0.40ドル、1百万出力トークンあたり2ドルという価格設定です。Mistralの主張によると、Mistral Medium 3は、「すべてのベンチマークにおいて」コストが高いAnthropicのClaude Sonnet 3.7モデルを90%以上上回る性能を発揮します。また、MetaのLlama 4 MaverickやCohereのCommand Aなどの最近のオープンモデルを上回っているとも言われています。

トークンについての理解

トークンとは、モデルが扱う生のデータのビットであり、1百万トークンは約750,000単語に相当します。これは「戦争と平和」と比べて約163,000単語長くなります。

クラウド環境へのデプロイ

「Mistral Medium 3は、4つのGPU以上を搭載したセルフホスト環境を含む任意のクラウドにデプロイ可能です」とMistralはTechCrunchに送ったブログ投稿で説明しています。価格面ではこのモデルはAPIとセルフデプロイシステムの両方において、DeepSeek v3などのコストリーダーを上回っています。

Mistralのビジョンと支援者

2023年に設立されたMistralは、AI駆動のサービスを提供するフロンティアモデルラボです。これには、チャットボットプラットフォーム「Le Chat」やモバイルアプリが含まれます。MistralはGeneral Catalystなどのリスクキャピタルによって支援されており、これまでに約11億ユーロ(約12億4千万ドル)を調達しています。顧客にはBNP ParibasやAXA、Miraklなどが含まれます。

最適な利用範囲

Mistralによれば、Mistral Medium 3はコーディングやSTEM関連のタスクに最適で、多モーダル理解に優れています。同社は、金融サービス、エネルギー、ヘルスケア分野のクライアントが顧客サービス、ワークフローの自動化、複雑なデータセットの分析などのユースケースでこのモデルをベータテスト中であると述べています。

Amazon Sagemakerでの利用開始

MistralのAPIに加えて、企業顧客はMistralと共同でモデルを調整することができます。また、Mistral Medium 3は水曜日からAmazonのSagemakerプラットフォームでも利用可能となります。今後はMicrosoftのAzure AI FoundryやGoogleのVertex AIプラットフォームなど、他のホストにも対応する予定です。

最新モデルの発表と新サービスの開始

Mistral Medium 3の発表は、3月に続いてMistral Small 3.1が発表された後のことです。会社のブログでは、今後数週間でより大規模なモデルのリリースが予告されています。

Le Chat Enterpriseの登場

Mistralは水曜日に、企業向けのチャットボットサービス「Le Chat Enterprise」を開始しました。このサービスでは、AI「エージェント」ビルダーや、MistralのモデルをGmail、Google Drive、SharePointなどのサードパーティサービスと統合するツールが提供されます。Le Chat Enterpriseは今年初めにプライベートプレビューとして登場しましたが、今回一般提供が開始されました。

MCP対応の計画

Le Chat Enterpriseは、Anthropicの標準であるMCPに対応し、AIアシスタントをデータが存在するシステムやソフトウェアに接続する機能を持つ予定です。今年の初めにGoogleやOpenAIなどの他の主要AIモデルプロバイダーもMCPを採用すると発表しています。

この新たなモデルのリリースは、AI市場に新たな競争を生むものとして注目され、一部のデベロッパーたちはMistralの技術に大きな期待を寄せています。